親知らず抜いた

大学にはいってじわりじわりと右上の親知らずが生えてきていた。大人になったら生えるという親知らずが生えてきて嬉しかった。僕は毎日毎日まっすぐ立派になるのよって思いながら愛でていた。

時は流れて〜
大学4年になった僕は部活の一番でっかいライブを目前にしていた。4年間ずっとずっと出演することが憧れだったライブである。大学一年のころに芽を出した親知らずはもう俺の口の中にあるのが当たり前になっていた。ライブの前だから俺は歌を練習していた。口をいっぱいに開けて大好きなBLANKEY JET CITYの歌を歌っていた。そのとき右顎に違和感を感じた。親知らずが俺の顎の関節に干渉していたのだ。痛みは強くなり、最も痛いときには口をあけることもできなくなっていた。その時に親知らずを抜くべきか迷った。しかし、親知らずを抜いたら一週間は練習できないだろうと思い抜くのはやめた。
俺の心意気を察してくれたのか親知らず君はうずくのをやめてくれた。ライブにも影響がなかった。だがこの時からもう親知らず君とは一緒に生きていくことはできないのだろうと感じていた。

そして、2012年の9月後半くらいにまた親知らずは疼き始めた。今回は前回の関節痛ではなく親知らず周りの歯茎が炎症を起こして痛くなった。もはや抜く覚悟は決めていたので、症状がでてから早々と病院に向かった。医師に「抜きましょう」といわれ、でかい病院の紹介状をもらった。
そして一度診察をして、今日とうとう親知らずを抜いてきた。
抜く前は怖かった。ネットで色々な意見を見れば見るほど怖くなった。しかし好奇心もあった。親知らずを抜くというイベントが楽しみでもあったのだ。

抜くときの話
親知らずの表裏の歯茎に麻酔を打った。麻酔の注射はチクッとする程度だった。だんだんと患部がしびれていった。まず歯を横から力を加える器具で揺らした。そのときに脳に「メキメキ、バリバリ」という嫌な音が響いた。と、思っていると医師が顔をあげた。「もしや」と思い、下で親知らずが”あった場所”を触ってみるとそこには大きな空洞が開いていたのだ。抜いた瞬間がわからなかった。痛みも全くなかった。親知らずを抜くというイベントはこうして終わった。

今回の抜歯では頭が出ている歯を抜いた。ほんとうにすぐに抜けた。しかし自分にはあと3本の埋没歯が残っている。これを抜くには歯茎を切開し、歯を砕くという手法でないと抜けない。これは怖いのでやらないで放置することにします。絶対無理無理カタツムリよ。